外の音がうるさく眠れない・仕事に集中できないなど困っている場合には、窓を二重にすることで防音することが可能です。しかし、使う窓の種類を誤ってしまうと「思ったほど静かではない」「日射を遮りすぎてしまい、冬に寒くなってしまう」などのトラブルが生じてしまいます。そこで今回の記事では、各環境に合わせた防音用の窓ガラスの最適な選び方を紹介します。
防音の考え方
一言に騒音といっても、騒音の源によって周波数は異なります。さらに、ガラスによって得意/不得意な周波数が異なります。よって、まずは自身が気になっている騒音は何なのか?を考え、騒音の周波数を推測し、その周波数の防音が得意な(=不得意ではない)ガラスが選ぶのが良い、ということになります。
・車のエンジン…10~500 Hz
・車のロードノイズ…50~500 Hz
・人の声…100~1000 Hz
・ピアノ…30~4000 Hz
・虫の声…2000~10,000 Hz
参考リンク1・[現象別]・音の周波数範囲マッピング
参考リンク2・騒音計/測定器の仕様
参考リンク3・Wikipedia・虫の音
参考リンク4・ロードノイズ
窓の紹介
ソノグラス

ソノグラスは、防音に特化したガラスです。2枚の板ガラスの間に防音特殊中間膜を挟むことで、音を減衰する仕組みです。防音性を第一に考える場合、ソノグラスが第一選択肢となります。
子育てエコホーム支援事業の補助金しか出ないため、実質負担金額は今回紹介するガラスの中で最も高くなります。
・補助金…子育てエコホーム…○、先進的窓リノベ…×、クールネット東京…×
スペーシア

スペーシアには、Low-Eペアガラスが採用されています。Low-E膜という薄い金属膜により、日射(太陽の赤外線)を反射して夏には部屋が暑くなりにくく、冬にはストーブ等の暖房機器から出る赤外線を閉じ込める効果があります。ペアガラスのため、室内の暖かい空気や冷たい空気を閉じ込める効果もあります。通常のペアガラスの場合には共振現象によって防音性が悪化してしまうことが多いのですが、スペーシアでは間にマイクロスペーサーを挟むことで防音性を担保しています。4000 Hzという高い周波数を除いて、前述のソノグラスとスペーシアの防音性能は同等です。
スペーシアの欠点は、元々家についている外側の窓ガラスがLow-Eペアガラスである場合に、日射を遮りすぎてしまい冬に部屋が温まりにくくなることです。日本サッシ協会のデータによると、外側窓ガラスが遮熱型のLow-Eペアガラスだった場合の日射取得率は40%であるのに対し、内側にスペーシアを付けると同28%まで低下してしまいます。また、外窓/内窓間で熱が反射し続けてガラス温度が局所的に上昇することによる熱割れのリスクもあります。
遮熱性・断熱性が高いため、子育てエコホーム支援事業のみでなく、先進的窓リノベやクールネット東京の補助金の対象となり、補助額も大きいです。
ただし元々の値段が高いため、実質負担金額は今回紹介するガラスの中では2番めの安さとなります。
・補助金…子育てエコホーム…○※、先進的窓リノベ…○※、クールネット東京…○
※…併用不可
クリアフィット

クリアフィットは、前述のスペーシアからLow-E膜を除いたペアガラスです。日射をほとんど遮ることとがないため冬に室内を暖めることができ、さらにペアガラスなので室内の保温効果・冷房効果が高いです。Low-E膜が無い以外は構造が同じであるため、クリアフィットの防音性はスペーシアと同等です。
サッシとの組み合わせによっては子育てエコホーム支援事業のみでなく、先進的窓リノベやクールネット東京の補助金の対象となります。この場合、今回紹介するガラスの中で最も自己負担金額が安くなります。
・補助金…子育てエコホーム…○※1、先進的窓リノベ…○※1, 2、クールネット東京…○
※1…併用不可, ※2…サッシとの組み合わせによる
まとめ
最も自己負担金額が安く、防音性と断熱性が高いクリアフィットを選択するのが良いでしょう。
元々ついているガラスがLow-Eではなく、なおかつ東西に内窓を設置したい場合にはスペーシアが良いでしょう。防音性だけではなく遮熱(外からの日射を遮る事)・断熱性(室内の暖かい熱を外に逃がさないようにする事)を付与することができます。尚、南側からの日射については、ガラスではなく庇(ひさし)で遮ることが一般的のようです。
防ぎたい音が虫の音など4000 Hzの高周波数帯にある場合には、ソノグラスを選択するのが良いでしょう。
今回の記事は以上になります。