晴れている場合や、台風が近づいていて停電の可能性がある場合など、状況に応じて蓄電池の設定を変更することが重要です。オムロンや、そのOEMである長州産業のスマートPVマルチの蓄電池を家庭に取り付けている場合、その設定画面が煩雑で、意図とは異なった蓄電池の動きをしてしまうことがあります。そこで今回の記事では、シチュエーション別に蓄電池のオススメ設定方法を紹介します。
筆者宅の電気事情
筆者宅には長州産業製の5.4kWのソーラーパネル、12.4 kWhの蓄電池が付いています。日当たりはよく、春~秋の晴れた日には20~30 kWhの電気を発電します。一日当たりの電気少量はシーズンにもよりますが10~20 kWhです。よって、晴れた日であれば日中はソーラーパネルから、夜間は蓄電池から電気を使うことで、買電せずに済みます。問題は台風が近づいた日です。明け方に停電が起きて翌日も大雨になってしまった場合には、蓄電池を早々に使い切ってしまい停電が発生してしまいます。よって平常時と台風が近づいたときとで、設定を変更する必要があります。
設定画面に辿り着く方法
オムロンや長州産業スマートPVマルチの場合には、Web上の遠隔モニタリングサービスか、あるいは家庭に据え付けてあるホームゲートウェイから、蓄電池の設定を変更することができます。見やすく設定もしやすいため、前者をおすすめします。ログイン後「機器の管理→パワーコンディショナ:選択→蓄電池設定→現在値の取得」とクリックしていくことで、蓄電池の現在の設定値を確認できます。ここからさらに「候補値の取得→(値の変更)→次に進む→設定」とクリックしていくことで、設定を変更することができます。

オススメ設定方法
シチュエーション1・なるべく電気を買わない&あまったソーラーパネルの電気を売電する
筆者が平時に考えるのは「なるべく電気を買わずに節電したい」かつ「余ったソーラーパネルの電気を売電し収入を得たい」ということです。この場合には、蓄電池を下記のように設定します。
・SOC下限(経済/グリーンモード)「0%」
・充電時間帯SOC上限「0%」
・日~土の放電曜日「放電する」
・充電開始時刻「00:00」
・充電終了時刻「23:59」
・放電開始時刻「00:00」
・放電終了時刻「23:59」
上記の設定をすることによって、下記の表のように売電・買電することになります。表中のNo.1は、昼間にソーラーパネルが消費量よりも十分に発電していて、かつ蓄電池が満タンではない場合です。パネルで発電された電気で家電を動かし(自家消費)、あまった電気は蓄電池に充電されます。No.2は、No.1の場合において蓄電池が満タンになった場合です。パネルで発電された電気のうち、自家消費されなかったものは売電されます。No.3は、昼間に蓄電池が空になってしまった場合です。自家消費電力よりもソーラーパネルの発電量が多ければ買電せずに蓄電池に充電します。逆に少なければ買電し充電はできません。No.4は、夜間に蓄電池残量が残っている場合です。蓄電池の電気を使い家電を動かします。No.5は、夜に蓄電池が空になった場合です。系統から電気を買って家電を動かします。蓄電池は充電されません。
No. | 状況 | 結果 | |||
ソーラーパネルの発電量 | 蓄電池の残量 | 系統からの買電 | ソーラーパネルの電気の売電 | 蓄電池への充電 | |
1 | 0 Wより多い (消費量より十分多い) | 1~99% | 無 | 無 | 充電 |
2 | 0 Wより多い | 100% | 無 | 売電 | 無 |
3 | 0 Wより多い | 0% | 無 or 買電 | 無 | 無 or 充電 |
4 | 0 W | 1~100% | 無※ | 無 | 無 |
5 | 0 W | 0% | 買電 | 無 | 無 |
※ ただし蓄電池から系統への電気の逆流を防ぐため、0.1 kW程度の買電が発生する
シチュエーション2・台風等のときに停電に備える
台風のときには大規模・長時間停電のニュースが流れますよね。台風のときには晴れ間や薄曇りであればソーラーパネルが発電しますが、大雨のときにはほとんど発電しません。万が一の停電のリスクが高い日に筆者が考えるのは、経済とリスクの天秤を取り「ほどほどに電気を購入し、ほどほどに蓄電池の残量を残しておく」ということです。この場合には、一例として下記のように設定します。
・SOC下限(経済/グリーンモード)「50%」※1
・充電時間帯SOC上限「100%」
・日~土の放電曜日「放電する」
・充電開始時刻「08:00」※2
・充電終了時刻「23:00」※3
・放電開始時刻「00:00」
・放電終了時刻「23:59」
※1 蓄電池残量が少なく、家族が多いほど高い値にしておいた方が良い
(筆者の場合は電池容量12.4 kWh、2人家族)
※2 季節に応じて、日の出1時間後くらいの日時を入れておく
※3 就寝時刻を入れておく
上記の設定をすることによって、下記の表のように売電・買電することになります。表中のNo.1は、昼間にソーラーパネルが発電していて、かつ蓄電池が満タンではない場合です。パネルで発電された電気と系統から購入した電気の両方を使い、家電を動かすとともに蓄電池を満タンまで充電します。No.2は、No.1の場合において蓄電池が満タンになった場合です。ソーラーパネルの発電量が消費量に対して多い場合には、パネルで発電した電力で家電を動かし、余った電気を売電します。No.3は日没から23時までです。系統から購入した電気を使い家電を動かすとともに、蓄電池が100%になるまで充電をし続けます。No.4は、23時から翌8時までです。買電をせずに、蓄電池の残量が30%になるまでは蓄電池の電気を使います。No.5は、No.4において蓄電池の残量が50%になった場合です。この残量を維持するように、系統から買電をします。
No. | 状況 | 結果 | |||
ソーラーパネルの発電量 | 蓄電池の残量 | 系統からの買電 | ソーラーパネルの電気の売電 | 蓄電池への充電 | |
1 | 0 Wより多い | 0~99% | 買電 | 無 | 充電 |
2 | 0 Wより多い (消費量より十分多い) | 100% | 無 | 売電 | 無 |
3 | 0 W (日没~23時) | – | 買電 | 無 | 充電 |
4 | 0 W (23時~翌8時) | 51~100% | 無※ | 無 | 無 |
5 | 0 W (23時~翌8時) | 50% | 買電 | 無 | 無 |
※ ただし蓄電池から系統への電気の逆流を防ぐため、0.1 kW程度の買電が発生する
シチュエーション3・停電に備える&安い時間帯に電気を買う
家庭によってはLooopでんきのように、時間帯によって電気料金が変わる電力会社と契約している場合があります。この場合に、先ほどの台風のときの停電に備えつつも安い時間帯に電気を買いたい、という場合には、下記の設定がおすすめです。この設定のポイントは、電気料金が安くなる時間帯に電気を購入するように、充電開始時刻と終了時刻を入力することです。
・SOC下限(経済/グリーンモード)「50%」
・充電時間帯SOC上限「100%」
・日~土の放電曜日「放電する」
・充電開始時刻「08:00」
・充電終了時刻「12:00」
・放電開始時刻「00:00」
・放電終了時刻「23:59」
上記の設定をすることによって、強制的に買電する時間が変わるだけで、その他はシチュエーション2と同じように蓄電池が動きます。

まとめ
蓄電池の設定を使いこなせるようになることで、シチュエーションによって電気料金を安くすくこともでき、また万が一の停電に備えることもできるようになります。本記事を参考に蓄電池の設定を変更する場合には、必ずご自身にて意図通りに蓄電池が動くことをご確認ください。今回の記事は以上になります。